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東大寺修二会お松明

鐘と炎と漆黒の共演に震えました。
至近距離で拝見したお松明です。

3月12日夜、東大寺二月堂修二会のクライマックス、「お松明」に行ってきました。
超有名な、写真では何度も見る行事。今年は特別な思いが重なって、足を運びました。
一つは、疫病退散と、平和を願いを込めて。
東大寺のホームページによりますと、修二会について
「東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)は、天平勝宝4年(752)、東大寺開山良弁僧正(ろうべんそうじょう)の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)が創始された。以来、平成24年(2012)には1261回を数える。

修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と言う。十一面悔過とは、われわれが日常に犯しているさまざまな過ちを、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の宝前で、懺悔(さんげ)することを意味する。

修二会が創始された古代では、それは国家や万民のためになされる宗教行事を意味した。天災や疫病や反乱は国家の病気と考えられ、そうした病気を取り除いて、鎮護国家、天下泰安、風雨順時、五穀豊穣、万民快楽など、人々の幸福を願う行事とされた。

東大寺のながい歴史にあって、二度までもその大伽藍の大半が灰盤に帰してしまった時ですら、修二会だけは「不退の行法」として、1250有余年もの間一度も絶えることなく、連綿と今日に至るまで引き継がれてきたのである」

とあります。つまり、今年は1269回目ということですね。

また、今回見に行った、お松明は練行衆を先導されるための灯りとありますが、誰もが疫病退散、国家安泰を願う炎だと思わずにはいられないでしょう。

今、新型コロナウイルスで世界中が震撼する未曽有の事態となっていますが、昔より、疫病で苦しんできた日本、人類の歴史が繰り返され、そのたびにそれを沈めんとしたのがこの行事であり、だからこそ1200年以上も続いてきたと思うと感慨ひとしおです。

また、日本の炎をともなう行事というのは、本当に病原体を無害化せしめる、追い払うということが実際あるのではないかと確信しています。

神社やお寺でのお焚き上げ行事や、このようなお松明をあげる炎をともなう行事が何事か悪しきものを消滅、退散させ、浄化し、よきことを成就させてきた、そういう作用があると感じます。
2月15日には大神神社の焼上行事を見た時にも、そのように思いました。

それから、今回お松明に行った思いのもう一つは、この行事に使う竹の調達が最近は厳しくなってきていると、竹アーチストの三橋玄さんのご発信で知ったというのがあります。
主に近畿一円各地より寄進されてきて、今も続けられてはいますが、どんな竹でもよいわけではなく、行事に耐え得るまっすぐな真竹でないとダメで、その条件にかなう竹はごくごくわずかであり、それを見極められる人材にも事欠くという事態だそうです。それで三橋さんもご依頼があってからのここ数年は四方八方手をつくして調達のお手伝いをしているとお聞きしました。
2月11日には、無事調達できた、寄進者の名入りの貴重な真竹が置かれている場所も見に行きました。
そんな実情も知り、これから1000年続ける行事にしていかなければならない、この我々の生きる時代で絶やしてよいはずがない、という思いで、無事、1269回目を行えているありがたさを感じに行きました。

確かに今、世界中が新しい病で人類の命に係わる緊急事態、危機かもしれません。
けれど本当の危機は、放置竹林が周囲に侵食する「竹害」が言われながら、一方で大事な行事につかう竹の調達が危ぶまれるという、今の日本の在り方ではないでしょうか。
家の垣根、生活道具などに粋に竹を取り入れてきた日本文化。でも、軽さ、安価さなどから竹の格好をしながらも違う素材にとって代わられていることが多く、竹の需要がなくなってきたために起こっていることなのです。

竹のことだけでなく「調達できない」ということが危機だと知り合わないといけないと思います。

緊急で重要なこと、時として緊急で実はそれほど重要でないことに追われてしまいますが、持続可能な調達ということには、すぐにはならない、そのようなことに時間をかけてじっくりかかわっていければ良いなと思います。

この行事の会場、東大寺二月堂は奈良盆地を一望できる場所にあり、また世界を見渡すという気概で建立されたものと思っています。
そのような場所での練行衆様のご修行、また童子様の炎を操る様は、自然との共生で平和をつくる、そのことが最強なのだと内外に知らしていることだと思います。

3月12日お松明の動画を撮っています。
一つは、開始直前、直後の10分間で鐘の音と炎の共演に打ち震えました。
もう一つは、至近距離で拝見したお松明の様子です。
ご覧いただければ幸いです。

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